ご相談の企業は10数年にわたりM&Aで事業を拡大してきましたが、その成長過程の裏で人事業務の効率化とシステムの更新が追いついていませんでした。古いシステムや手作業に依存する非効率な業務。新しい人材の採用もままならず、業務は高齢の熟練者頼り。日々の目のまえの業務を複数人の派遣社員を雇い、何とかさばいている状況が続いていました。これまで行ってきた対症療法的な解決策ではもう立ち行かない。抜本的な解決策を求めてアクタスにやって来られました。

お客さまは複数の問題に直面していました。例えば、業務の属人化によって生じる過重労働や業務プロセスの複雑化。長時間労働による割増賃金の未払い。これらをはじめとした労働基準法違反のリスク増大など。数々の問題は複雑に絡まり、業務効率に悪影響を及ぼし、生産性は低下の一途をたどっていました。

アクタスは社労士を含む人事給与BPOチームとITコンサルタントによるプロジェクトチームを組成し、お客さまとともに人事業務の改革案をまとめました。まず第一の目標は「業務プロセスの可視化と効率化、そして精度の向上」。この目標をクリアしていくことで、内外の環境変化に強い柔軟な人事組織への変革を目指すことにしました。具体的には、給与や賞与の計算や社会保険手続き、福利厚生などの業務はアクタスのBPOチームに委託。ITコンサルタントは人事業務のデジタル化と標準化を推進する。お客さまの人事業務をコアとノンコアに切り分け、デジタイゼーションからデジタライゼーションへとステップを踏んでいくことで、従業員にわかりやすい簡潔な業務フローが確立され、適正な労務管理とコンプライアンスが遵守でき、BCP対策の強化にも取り組むことができる新しい人事組織像を描きました。

今回のプロジェクトの２本柱となるのはBPOとシステム導入です。約半年の準備期間を経て、業務の可視化、データの一元管理、エラー防止策の導入、業務プロセスの最適化といった幅広い改善策を次々と実施していきました。これらの戦略的アプローチによって、業務範囲の明確化、BCP対策、システムセットアップを成功させました。以下は今回のプロジェクトで実施したBPOの業務体系図（アクタスのシステムを利用）です。

▼プロジェクト期間

　2020年10月～12月　：契約書の作成、業務範囲の明確化、BCP対策のチェック等

　2021年01月～03月　：BPO開始準備、システムセットアップ

　2021年04月～　　　：本稼働（親会社）

　2021年10月～　　　：本稼働（子会社）

▼プロジェクトで利用したアクタスのサービス

・人事給与BPOサービス（給与計算、賞与計算、社保手続き、マイナンバー管理、福利厚生手続の一部（確定拠出年金、生命保険、財形、証明書発行等）

・システム導入支援（導入製品：給与奉行（アクタス環境）、奉行Edge 給与明細電子化クラウド、奉行Edge マイナンバークラウド、奉行Edge 年末調整申告書クラウド、労務ナビ）

＊奉行Edge マイナンバークラウド、奉行Edge 給与明細電子化クラウド、奉行Edge 年末調整申告書クラウド、給与奉行V ERP11、法定調書奉行V ERP11は株式会社オービックビジネスコンサルタントの登録商標です。

このプロジェクトの結果、企業は人事給与処理の精度と効率性を大幅に向上させました。業務プロセスの標準化により、作業の正確性が保証され、業務手順の適正管理が可能となりました。また、業務負荷の平準化により、従業員の働き方にメリハリが生まれ、残業時間の削減に成功しました。さらに、生産性の向上と持続的な業務改善の体制を構築することに成功し、長期的な企業成長の基盤を確立しました。