中小企業DX事例
2024年 建設業従業員数 100名
IT業務診断で目指すべきゴールが見えた。
業務改革に本気で取り組もうと全社一丸となった
連携
支援機関
- IT
コンサルタント - 税理士
- 社会保険
労務士 - 金融機関
- OA商社
- ITメーカー
- その他
ご相談の背景
人材流出を発端に抜本的な業務見直しが迫られる
足場や土木工事などを手掛ける建設業のお客さまです。売上は堅調。しかし昨今の材料費や人件費の高騰により利益率が低下傾向にありました。また、人材不足や採用難もあり、当面は品質面や人材・資材の調達力で顧客の評価を高め、リピート受注に繋げていく方針を掲げていました。ところが、方針を掲げた矢先に人材流出が発生。お客さまを支援する地方銀行のDXアドバイザリチームから「抜本的な業務見直しに着手することになったので支援してほしい」とアクタスに相談がやってきました。
問題点
利益が出ているかどうかも年度末にならないとわからない
いちばんの問題は年度末にならないと利益が出ているのかわからない、という管理体制でした。経営者が考える向こう3年間の経営目標は「売上維持と利益率改善」。しかし売上を維持するにも新たな人材獲得や育成は必要です。また構想中の新規事業への投資も利益率が改善できなければ実行できません。経営者は「経費を使い過ぎている。請求できていない現場もある。それらを改善すればもう少し利益を出せるはず」という肌感覚はありましたが、ではどの現場が問題なのか? それが具体的にわからないため、手を打つことができず、一体どこから手をつけてよいのかわからない……と途方に暮れていました。
目指したゴール
売上維持と利益率改善を実現する「現場別損益の見える化」へ
そこで「現場別損益の見える化」をゴールとすることを提案しました。年間160件以上が稼働する現場ひとつひとつの損益を見える化できたら、経営目標に到達できるはずです。そのためには現在使用している原価管理システムと業務の見直しが必要でした。現状のシステムは知識のない従業員は使いこなせず、よくわからないまま入力したり、工事番号の付番ルールもあいまいなため、どの現場で誰が稼働しているのかもわからない。まともな工事台帳を出力することができない。そんな状態だったのです。「うちのビジネスは本来シンプルなのです。システムも業務ももっとシンプルにすれば現場別の損益は分かるはず」という経営者の意向を受け、業務をスリム化して、パッケージシステムに業務を合わせるという方針で検討を進めることにしました。
解決方法
優先的に取り組むべき課題を明確にする
まず現状の問題点や課題を詳らかにすることから始めました。アクタスのITコンサルタントと地方銀行DXアドバイザリチームが一体となって、経営者をはじめ業務担当者、IT担当者へ現状調査ヒアリングを5回実施。そして、解決の方向性を検討して、最終報告書にまとめ、関係者を集めた報告会を行いました。その結果、「現場別損益の見える化」「適切な在庫管理」の2つの経営課題を設定し、取り組みへの優先度つけるために以下のように仕組み化しました。
- 営業担当が作成する見積に対する内部統制として、上長による電子承認を必須とする
- 先行着手が発生する場合も、必ず工番を付番した上で出面を作成、あとで元請に請求できるようにする
- 一定のルールに基づき工番を付番、また原価管理が必要な品目を決め、工番別にシステムに入力することで、工番別の原価を把握できるようにする
- 自社所有の仮設材を原価算入することで、原価計算の精度を高める、そのための在庫管理を行う(課題2)
- 従業員のスキル面が不安なため、当面は本社集中でシステムに入力するが、将来的には各拠点の従業員を教育し、分散処理できるようにする
- 将来的には実行予算の作成・承認まで行うことができるようにする
成果・効果
“業務改革に取り組む”という強い意志が全社で共有された
今回の診断結果により、経営者自身が「業務を改善すればもう少し利益を出せるはず」という漠然としたイメージから脱却し、課題と解決の方向性が明確になりました。優先度の高い課題解決策から着手するという方針と、それに基づくスケジュールを立案、候補システムの選定と概算予算が出たことで、資金計画の面でも見通しを立てることができました。そして、経営者から全従業員に対して、今回の結果と今後の方針を報告したことによって、“全社で業務改革に取り組むんだ”という強いメッセージと意志を伝えることができました。
担当専門家より
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坂本 敏文
アクタスITコンサルティング(株)
代表取締役 代表取締役
普段から密にお客様と接している地方銀行の営業担当がDXニーズを拾い上げ、銀行のDX支援担当の方々と一緒になって案件に取り組みました。おかげで、経営者や現場の皆様と本音のディスカッションを重ねることができ、お客様のありたい姿を明確にすることができました。
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髙木 直美
アクタスITコンサルティング(株)
アシスタントマネジャー アシスタントマネジャー
ヒアリングを重ね、問題点が明確になることで、どの問題点を優先的に解決しなければならないかが明らかになり、それまでの漫然とした課題に対して、それを具体化して解決策に結び付けていきました。
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中原 慎介
アクタスITコンサルティング(株)
アシスタントマネジャー アシスタントマネジャー
セキュリティの視点から簡易診断を行わせていただきました。セキュリティ担当が不在、運用や保守はベンダー任せというご状況でした。現地を視察させていただき、将来的にセキュリティをどのように考えていくか。また優先的に着手すべき課題について一緒に考えました。