中小企業DX事例
2024年 建設業従業員数 30名
経理の業務改善が
社長と社員の意識までも変革させた
連携
支援機関
- IT
コンサルタント - 税理士
- 社会保険
労務士 - 金融機関
- OA商社
- ITメーカー
- その他
ご相談の背景
お客さまの持続的成長を考え、金融機関が働きかけた
経理の抜本的改善
お客さまの経理業務を改善してほしい——危機感を募らせた地元金融機関からのご依頼でした。そのお客さまは造成、解体、外構、給排水などの工事を生業とし、現場の柔軟な対応力とスピードが評判の企業でした。大手ハウスメーカーを中心に安定した受注が入り、今後、人員拡大とともに事業の拡大を社長は視野に入れていました。しかし、支援する金融機関としては現在の経理体制や管理方法では早晩、限界が来る。このまま事業拡大は難しいだろう。経理システムのプロに依頼して、業務や管理の体制を整えてから事業を拡大したほうが企業の持続的成長につながる。そう考え、社長に業務改善を働きかけました。
課題の整理
ヒューマンエラーのリスクを常にはらむ
紙やExcelによる手作業、経験や勘に頼る経理処理など
依頼を受け、私たちAITが社長と経理担当に業務内容をヒアリングしたところ、金融機関が危機感を抱く状況がよく理解できました。
- 経理や管理業務は紙やExcelによるアナログ運用
- 月30〜40件にのぼる振込はすべて手動
- 資材仕入はクレジット決済と銀行振込が混在
- 請求書はExcelでの作成と取引先システムの併用
- 工事の進捗管理や売上債権管理は社長に一任
- 経理は2名で業務分担、それぞれが経験に基づいて処理
- 経理担当間で相互チェックはなし、業務の属人化傾向
- 請求や支払の連絡は口頭が中心
この体制や方法はヒューマンエラーのリスクを常に孕んでいます。実際、現場から社長への工事完了の連絡がなく請求漏れが起きたり、重複振込が時折発生していたそうです。それでも現体制で最低限の業務は回っている。経理担当は漠然と業務に負担を感じていたものの、どうすればいいのか検討がつかなかったと言います。
目指すべきゴール
「見える化」と「仕組み化」で
成長を支える新しい経理体制へ
私たちはまず紙やExcelに頼らない経理システムへの業務移行と、入力の自動化やデータ連携機能を活用することで「入力作業中心の体制からチェック中心の体制」への再構築を掲げました。これによって経理業務の標準化と効率化が図れるだけでなく、社長が経営判断に必要な数値情報をリアルタイムで把握できます。そのため、今後の事業拡大のタイミングも的確に判断できる状態になる。「見える化」と「仕組み化」で成長を支える新しい経理体制。これを今回のプロジェクトゴールとしました。
解決へのアプローチ
経理業務がどのように変わり、ラクになるのか
複数システムを触って実感、検討していく
社長をはじめ経理担当の方々は目指すべきゴールへの期待は高まったものの、ではどのように業務が変わるのか、本当にラクになるのか、具体的なイメージが抱けていませんでした。そこで私たちは経理業務の中でもとくに負担が大きかった「売上債権管理」と「仕入債務管理」に着目し、複数のシステムを選定して、実際に触ってもらいながら、操作性や見やすさ、必要な機能を一緒に検討していきました。同時に、新しい経理業務の全体像やフロー、数値情報が管理しやすい仕組みなどを二人三脚でつくり上げていきました。
成果と効果
「ラクになる」という実感とともに
「改善できる」という意識が芽生える
システム導入と新体制の構築に向けた打ち合わせを重ねるたびに変化していったのは、お客さまの表情でした。「これも自動でやってくれるんだ」「これなら誰でもわかる」「すぐ終わるね」という実感が増すとともに、「変えることってできるんだ」「改善できる」という前向きな意識に変化していく姿が手に取るようにわかりました。最終的にお客さまが選んだのはクラウド会計ソフトのfreee。このfreeeを利用して、これまでバラバラに管理されていた数値情報を一元管理するとともに、経理業務全体の流れが線としてつながり、可視化や共有しやすい仕組みができ上がりました。今回の経理業務改善は、その役割を超えて、社長をはじめ経理担当や社員のみなさんの意識に影響を与えました。支援する金融機関からも「変革の起点となった」という言葉をいただきました。
担当専門家より
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小林 茉利奈
アクタスITコンサルティング(株)
シニアマネジャー ITコーディネータ 社会保険労務士 シニアマネジャー/ ITコーディネータ/ 社会保険労務士
業務改善には仕組みだけでなく、現場の意識変革が欠かせません。システムの画面を実際に見ていただく中で、「こんなに楽になるのか」という驚きと前向きな反応が生まれました。複数システムの比較により、現場が納得して選べたことも導入の成功要因です。
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髙木 直美
アクタスITコンサルティング(株)
アシスタントマネジャー ITコーディネータ アシスタントマネジャー/ ITコーディネータ
経理業務の属人化を解消し、紙やExcelに頼らない業務体制が構築できました。業務の標準化・効率化により、ヒューマンエラーが削減され、経営数値のリアルタイム把握が可能となります。また、現場でも『変われる』という前向きな意識が芽生え、システム導入は業務改善だけでなく意識改革のきっかけともなりました。