中小企業DX事例
2022年~ 銀行・信用金庫
中小企業と社会が持続発展するために
経理DXを促進する銀行・信金向け勉強会
連携
支援機関
- IT
コンサルタント - 税理士
- 社会保険
労務士 - 金融機関
- OA商社
- ITメーカー
- その他
ご相談の背景
すべての企業が自計化できれば、融資はもっとスムーズになる
金融機関からのご相談でした。自計化とは、経理処理に必要なデータを自社で会計システムやソフトに入力していくこと。日々の経理処理が自計化できれば、会計システムで業績や経営状態がリアルタイムに把握できるので、すぐに経営判断や対策を打てるというメリットがあります。企業としては融資をお願いする金融機関にもタイムリーに財務諸表(試算表、資金繰り予定表)が提出でき、金融機関としても融資の判断スピードが向上します。自計化は企業と金融機関、双方にとってメリットがとても大きいので、金融機関としては、取引先が自計化できるように促していくためにも、自らが会計システムの利活用を理解したい。ひいては勉強会を開催してほしいという趣旨でした。
問題点
金融機関が抱えるジレンマ
自計化を促したい一方で、金融機関としてはジレンマを抱えていました。自計化を行うには会計システムに精通した経理人材の確保が必要となります。多くの中小企業が会計事務所へ記帳代行から決算、申告までを一括で任せている状況で、経理人材の確保はかなりハードルが高い。また、企業が自計化できるようになると、会計事務所は記帳代行の報酬がなくなってしまう。果たして金融機関が企業へ自計化を促して良いものなのだろうか?
目指したゴール
企業と会計事務所と金融機関がWin-Winとなる構図を
金融機関のジレンマはごもっともです。そこでアクタスは自計化をすることで、企業と会計事務所と金融機関の3者がWin-Winになる構図を体系化しました。これは経理DXへの足掛かりにもなるシナリオです。この考え方をコンテンツ化し、金融機関の皆さんへお伝えする勉強会を開催することにしました。
解決方法
それぞれのメリットと課題を整理し、Win-Winの姿を示す
まずは自計化をする企業と会計事務所のメリットと課題を挙げ、その中での金融機関の役割を明確化しました。
▼企業のメリット▼
・業績をタイムリーに把握できる
・経営戦略への情報活用が積極的にできる
・独自の財務戦略が立てられる(金融機関への即時レポート)
など
▼企業の課題▼
・経理人材や会計システムなどリソース(投資)の必要性
・業務効率の問題
・透明性と監査の難しさ
など
▼会計事務所のメリット▼
・完成された財務諸表の最終チェックと財務分析に専念できる
・税務面の重要な付加価値の高いコンサル業務に専念できる
・経営者とのグリップが一層強まる
▼会計事務所の課題▼
・顧問先との異なるシステム間のデータ整合性
・記帳代行報酬減
・不慣れなデジタル化への支援相談
など
▼金融機関の役割▼
・バックオフィスの包括的なデジタル化支援のプロデュースができる
・IT投資における金融的支援が行える
・会計事務所など様々な支援機関と共同で企業の経営サポートが行える
など
上記に挙げたメリットを享受するのと同時に課題をも解決し、企業と会計事務所と金融機関の3者がWin-Winになるシナリオを考えました。以下は自計化のビフォー&アフターのイメージ図となります。
成果・効果
クラウド会計の利活用で企業も社会も持続発展
自計化にクラウド会計を活用することで、企業と会計事務所が同じ情報を同じタイミングで見ることができます。会計事務所は記帳代行の入力業務がなくなる分、経営者の税務相談や経営相談にしっかり向き合うことができ、本来の役割である経営支援につながります。
また、クラウド会計は銀行やキャッシュレスサービスとの自動連携、受取請求書や領収書の自動仕訳など自動化機能を備えています。そのため専門の経理人材を確保しなくても、会計システムのメリットを十分受け取ることができます。これまでの経理業務が効率化され、データの正確性も向上します。またクラウドサービスのため、設備投資は不要となり、コストを抑えることができます。
自計化を機に取引先間の取引をデジタル化へ積極的に置き換えることで、取引と取引がデジタルで繋がり、経済活動の好循環を生み出し、企業も社会も持続的に発展していくことが期待できます。
2024年3月終わりに経済産業省が「DX支援ガイダンス ~デジタル化から始める中堅・中小企業などの伴走支援アプローチ~」を発表しました。これは2023年秋から実施されてきた検討会によりDX支援機関のあるべき姿をまとめたものです。そこには支援機関同士の連携が非常に重要であると提起されています。私たちアクタスグループも支援機関のひとつであり、金融機関をはじめとする中小企業のステークホルダーとともに活動をしていきます。
担当専門家より
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田中 慎一
アクタスITコンサルティング(株)
シニアマネジャー シニアマネジャー
デジタル化に対する抵抗勢力は少なからずあります。しかし正しい理解を論理的に示す事により本質的な必要性に納得して頂けるようになります。システムを入れて目先が楽になるだけではなく、事業の継続と発展に結びついた将来像を描きながら金融機関や士業とともにDXを進めて行く事が成功に繋がると考えます。
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山田 毅
アクタスITコンサルティング(株)
スーパーバイザー ITコーディネータ スーパーバイザー/ ITコーディネータ
DXを進めていく上で、支援機関同士の連携が不足していると感じることが多々あります。お客様の課題の多様化、複雑化に対応するためにも更なる連携を深め、地域経済の持続的な発展を促進しましょう。