中小企業DX事例
2022年 建設業従業員数 40名
税理士とITコンサルタントの連携で
新たな業績管理の仕組みづくりと経理業務を改善
連携
支援機関
- IT
コンサルタント - 税理士
- 社会保険
労務士 - 金融機関
- OA商社
- ITメーカー
- その他
ご相談の背景
経理に予実管理の方法を見直す余裕がない
大型施設の解体工事から産業廃棄物の処理や再資源化といった解体後の処分まで一気通貫で手がけている会社です。産業廃棄物処理施設や重機、ダンプトラックも自社で所有され、類をみない事業を展開されています。事業が順調なこともあり、経理業務はつねに手一杯。できれば現場ごとや会社全体の予算と実績管理の方法を見直したいが、そこに時間を割く余裕がない。いまの経理業務を省力化できないだろうか?というご相談をいただきました。
問題点
現場ごとの収支がわかる仕組みがなかった
詳しいお話をうかがっていくと、収支を管理する仕組みがないことが見えてきました。例えば、解体工事現場で発生した産業廃棄物の処理。自社施設での処理は外注処理よりもコスト優位なのか、わからない。また、工事ごとの収支も把握できていない。そのため、現場ごとと会社全体の業績管理の仕組みづくりを検討する必要がありました。しかし経理の人手は十分ではありません。業績管理の影響で経理の負担が増えないように、既存の業務を省力化する必要がありました。
目指したゴール
新しい業績管理体制づくりと経理業務の省力化
「業績管理体制の構築」をゴールとするものの、達成した際に増加する経理の業務負担を考慮する必要がありました。そのため以下3点のルールを設けることにしました。
- 解体工事現場で出た廃棄物を自社施設(産廃事業部)で処理する場合は、処分費を各現場の原価として計上すること。
- 各費用についての計上方法や配賦基準を明文化すること。
- 配賦処理が無理なく正しく行えること。
解決方法
管理する部門を明確にして、新たなコストフローと仕組みを構築
アクタスの税理士を中心とした業務改善コンサルチームが、経営者、経理責任者、部門責任者へヒアリングを行い、業績を管理する部門とコストのフローを新たに設計しました。業績を管理する対象は「工事部」「場内部(産廃事業部)」「共通部」の3部門。コストが明確にわかるように、自社施設を利用した場合の処分費は「場内部」から「工事部」へ請求書を発行。社内取引をすることで工事部の費用として計上することにしました。そして「共通部」の経費は「工事部」「場内部」へ按分する。さらに「工事部」の間接費を各現場へ按分することで、工事別の原価を算出することにしました。
この新しい業績管理の仕組みに合わせて、会計システムも新たに入れ替えることにしました。アクタスが選んだのは、現場別の収支の入力が可能な「勘定奉行クラウド[建設業編]」。配賦基準を設定することで、部門別や現場別の配賦計算と仕訳作成が自動で行えます。さらに「債務奉行クラウド」も同時に導入し、請求書の受領から支払業務まで一気通貫で処理が行えるため経理の業務時間が圧縮できます。
以下はコスト按分のイメージ図です。
成果・効果
適正でわかりやすいコスト管理と無理なく月次決算早期化を実現
新しい業績管理の仕組みとシステムの入れ替えによって、経理部門は人員を増やすことなく、適正な原価管理ができるようになりました。今回、新たに部門間の請求業務と仕訳入力時に部門や現場を入力する業務が増えましたが、配賦の処理はほぼクリックと確認のみのため、ラクにスピーディーに業務が行えるようになりました。また、新しいシステムに慣れるまで時間は多少かかりましたが、1年ほど使いつづけた現在では月次決算が約1週間、無理なく早めることができているそうで、経営者や経理担当の皆さんに喜んでいただけました。
今回は業務改善コンサルティングから会計システムの導入支援まで、アクタスの税理士とITコンサルタントによって一気通貫で対応させていただきました。業務改善コンサルで綿密な新業務プロセスをご提案し、導入支援チームが必要なシステム設定と操作指導を無駄なく実施でき、お客さまの経営に大きなインパクトを与えた好事例となりました。
担当専門家より
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髙木 直美
アクタスITコンサルティング(株)
アシスタントマネジャー ITコーディネータ アシスタントマネジャー/ ITコーディネータ
勘定奉行クラウド[建設業編]を導入しました。多機能な会計ソフトを導入しても、導入初期から多岐にわたるメニューを使いこなすのは難しく、結局手つかずになりがちです。今回は、実現したい処理を明確にすることで、無理なく業務に合わせた、メニューを使いこなしていただいております。
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荒木 透
アクタス税理士法人
シニアマネジャー 税理士・中小企業診断士 シニアマネジャー/ 税理士・中小企業診断士
経理業務の改善を行う前に、業績管理の土台を構築する必要がある事例でした。将来の業績管理のイメージを経営者や経理担当者と共有しながらディスカッションを重ねていました。あるべき姿を検討することで、システム選定や運用面における要件を明確にできました。