中小企業DX事例
2022年 介護事業従業員数 300名
デジタル化への第一歩となる
通信インフラの刷新へ
連携
支援機関
- IT
コンサルタント - 税理士
- 社会保険
労務士 - 金融機関
- OA商社
- ITメーカー
- その他
ご相談の背景
IT環境を改善したいが、どこから手をつけたら良いか?
入居者さまへのサービス向上のためにも施設のIT環境の改善を図りたいとのご相談をいただきました。お客さまは事業に必要なサービスや設備には積極的に投資を行なってきましたが、IT環境はこの数十年、後回しになっていたと言います。必要最低限のハード、通信インフラ、業務アプリでしのいできましたが、入居者様や来訪の方からゲストWi-Fiを求められたり、スタッフからも事務処理に支障があるとの声が日に日に大きくなるばかり。しかしどこから着手すべきか?お困りのご担当者にアクタスのITコンサルタントはIT環境のヒアリングを行い、課題を整理していきました。その中で見えてきた最大のお困りごとはネットワークインフラでした。
問題点
古い通信インフラがはらむ危険性
聞けば、ネットワークインフラはたびたび障害を起こしているそうです。止まるたびに担当スタッフがルーターを再起動して一時的に復旧。しかし時間が経てば再び止まる。これまで場当たり的にLANを拡張してきたこともあり、LANの最終構成図面はありません。この状況は介護施設のガバナンスの問題にも関わるため、まず通信インフラの抜本的改善から着手することをご提案し、了承を得ました。今回のプロジェクトメンバーは通信機器のサプライヤーであるOA商社と設計工事会社、そしてネットワーク専門メーカーとアクタスの4社でタッグを組みました。メンバーで通信環境を下調べすると、ネットワークケーブルやHUBは古い規格のままで、IPは枯渇状態。これらが原因で障害を誘発していると察しがつきました。またネットワークの脆弱性も孕んでいました。そこで5つの課題(ネットワークの設計構築、運用管理、セキュリティ対策、耐障害性、保守サポート)からアプローチし、改めてヒアリングと現地調査を行い対策を整理しました。
目指したゴール
最新の通信インフラを引き直し、新たな管理体制を構築
調査のうえ、プロジェクトメンバーとお客さまで決めたゴールは次の3つです。
- 機器構成と配線方式の見直し
- 指定したエリアすべてに行き届くWi-Fi環境の構築
- ネットワーク障害を早期復旧する管理体制
解決方法
安定した通信インフラと保守体制で安心できるIT環境を構築
目指したゴール3点の具体的な解決方法は以下となります。
1.機器構成と配線方式の見直し
◆事務局と経理課のセキュリティを担保するため、その他のネットワークとバーチャルLANを分けて(論理分割)、LAN間の通信を制御。
◆各フロアー毎に分かれていたネットワークを統合。回線のランニングコストの削減を目指す。
◆通信速度の向上のため、インターネット回線を「アライド光:1Gbps回線」に変更。LAN内の機器を1Gbps対応に統一。
◆通信速度低下や障害の原因になりやすいカスケード配線を廃止。各起点から配線するスター配線にすべて引き直し。
2.指定したエリアすべてに行き届くWi-Fi環境の構築
◆電波調査設計に基づき、新たに無線LANアクセスポイントを設置。
◆1つのネットワークでゲスト用と社内用が使えるように再構築。
◆無線LANコントローラーを入れ、チャネル設計・電波出力を自動調整するように。
3.ネットワーク障害を早期復旧する管理体制
◆障害時の受付・相談窓口を設置。
◆リモート監視で機器障害アラートをキャッチ。
◆オンサイト保守サービスで故障機器は即時交換。
成果・効果
ストレスフリーのIT環境でサービス向上とコストまで削減
施設の新しい通信インフラによって、入居者さまの満足だけでなく、スタッフのリモート会議の頻度が高まりました。また、セキュリティを高めながら複数の回線を1本化することでランニングコストも削減できました。施設の通信ネットワークインフラがきれいに整理整頓されたため、今後は拡張もスムーズに行えます。DXのはじめの一歩となるインフラが整いました。次はこのインフラを活用したデジタイゼーション、デジタライゼーションへと取り組んでいく予定です。
担当専門家より
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田中 慎一
アクタスITコンサルティング(株)
シニアマネジャー シニアマネジャー
何がボトルネックになっているのか。お客様からのご相談は本当に一握りの課題からのスタートです。担当領域の枠を超えて現状を聞いていき、問題を洗い出していく事で本当に解決をしなければならない課題に到達します。今回のケースは幹となるインフラを優先的に整備することにより後の様々なIT課題をスムーズに解決し易い方向性へと導く事ができました。
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坂本 敏文
アクタスITコンサルティング(株)
代表取締役 代表取締役
地域の中小企業のDX支援は、コンサルタントやITベンダーが主治医として、主体的かつ能動的に取り組むことが期待されています。今回は非常にタイトな納期、地方のお客様、複数のITベンダーということで、難しい案件でしたが、それぞれの守備範囲の隙間をうまくコミュニケーションを取ることで埋めあいながら進めることができました。