中小企業DX事例
2023年 卸売業従業員数20名
経営を持続するためのいい判断材料になった
事業の将来を見据えたシステム調査選定
連携
支援機関
- IT
コンサルタント - 税理士
- 社会保険
労務士 - 金融機関
- OA商社
- ITメーカー
- その他
ご相談の背景
汎用機システムに対応できる人がいなくなる
酒卸売業の同社が現在も利用をつづけている基幹システムは汎用機と呼ばれるもので、この技術に対応できるエンジニアは年々減ってきている状況にありました。過去にも一度、刷新を検討するために、ERPシステムの情報を収集したことがありましたが、3年間で6,000万円の投資が必要とわかり、酒卸売ビジネスの今後を鑑みれば、保留せざるを得ませんでした。酒卸売業界は若者の酒離れなど、厳しい状況が時間とともに深刻化しています。このままでは衰退の一途は目に見えている。システムも対応できるエンジニアがいなくなってしまう。そこで、税務会計の顧問であるアクタス税理士法人の税理士へ、今後のビジネスも踏まえ、経営を支えるシステムをどうすれば良いのか、相談を投げかけました。
課題
身の丈にあったシステムに刷新したいが……
担当税理士とともにアクタスITコンサルティング(以下AIT)のメンバーが経営者に話をお伺いしたところ、今後、新しいビジネスへ徐々にシフトしていくために、酒卸売事業にまつわる業務を身軽にしていきたいという考えをお持ちでした。在庫を減らして倉庫から直送する。手間のかかる倉庫への入出荷指示や在庫管理の方法を見直す。では、業務フローの変更に伴う取引先とのデータ連携はどうすればいいのか? 業務を変える具体的なアイデアはありましたが、フィットするシステムはどれなのか? システムへの投資金額は? それは現在と近い将来の経営状況に合うものなのか? 投資に見合った効果は期待できるのか? これからも経営を持続していくために、経営者はシステム投資の判断材料を求めていました。
目指したゴール
最適なシステムと業務の理想像と投資額
経営者とAITと担当税理士で話し合い、次の3点を今回のゴールとしました。
- 今後のシステム投資の判断材料となるシステムの比較選定
- システムを選ぶための販売管理やバックオフィス業務の改善方法と理想像の提案
- 投資額の算定
支援内容
理想の業務に適合する最適なシステムの調査選定
AITは上記3点のゴールに向けた調査と提案を実施しました。まず行ったのは既存業務の洗い出しです。現状を踏まえたうえで改善点を見出し、経営者が求める今後のビジネスシフトも踏まえた、あるべき販売管理(仕入・在庫管理)やバックオフィス業務の姿を描きました(以下図、業務フロー案)。そして、その姿を実現する適合性の高いシステム候補を抽出。投資額算定とともに、いったん調査結果を提出しました。AITがおすすめしたシステムは、卸売業向けのクラウドパッケージに外付けのシステムの組み合わせです。しかし、課題もありました。酒税報告書の作成や倉庫とのデータ連携、商品単価の管理がネックでした。実は、お客さまが取り扱う酒類の数(明細)が非常に多く、システムの追加オプションが必要となるため、ランニングコストが想定以上に上がってしまうのです。こうしたデメリットも踏まえ、経営者とディスカッションを重ね、さらにランニングコストを下げる方法はないか、追加調査を実施しました。
成果・効果
調査選定を踏まえ、持続可能な経営基盤の再構築へ
追加調査の結果、よりマッチしたシステムを見つけることができました。応研株式会社の大臣NXクラウドです。当初選定したシステムよりもランニングコストを抑えることができるだけでなく、酒税報告書作成など業種特有の業務もシステムの標準機能で対応できることが判明しました。これにより経営者が要望していた酒卸売事業にまつわる業務を身軽にできます。この調査結果を踏まえ、同社はシステム刷新と業務改善、持続可能な経営基盤の再構築に取り掛かることを決定しました。経営者には「相談した甲斐がありました」と喜んでいただけました。目指すは2年後の新システム本稼働です。
担当専門家より
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原田 勇二
アクタスITコンサルティング(株)
シニアマネジャー ITコーディネータ シニアマネジャー/ ITコーディネータ
酒卸業界は固有の商慣習や税法が影響する業界であり、システム刷新には慎重な対応が求められます。また、現行のレガシーシステムが長年にわたり業務に深く根付いていたことから、現場の運用実態を丁寧にヒアリングし、業務フローを再定義しながら、新システムの適合度を判定していきました。中長期的なビジネス戦略を見据え、高い効果が期待できるシステムを選定できたと考えております。
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山田 毅
アクタスITコンサルティング(株)
スーパーバイザー ITコーディネータ スーパーバイザー/ ITコーディネータ
激しい競争環境の変化に適応するためには、今や「IT経営」が企業の成長にとって不可欠な要素となっております。現時点では特にお困りのことはないかもしれませんが、将来を見据えたシステム化計画を策定することが重要です。お客様のビジョンに向けて、現状調査、システム化計画策定、システム選定調査を実施させていただきました。